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自治体の「平和政策」の実態に関する包括的調査と地域からの安全保障に関する考察

(基盤研究C、研究課題番号24530158、2012年度〜2014年度)

1. 研究目的

本研究の目的は、自治体の「平和政策」に関する実態を調査することによって、各自治体の「平和政策」の取り組みを明らかにし、地域から安全保障の問題に関わることの意味を問うことにある。これまでの自治体の「平和政策」は、非核自治体宣言を行い、それに関する啓発事業を行う程度のものであった。しかし、3/11の東日本大震災や、福島第1原発事故によって、非核三原則を遵守するだけでなく、原子力の「平和利用」についても自治体の発言力は増していくものと考えられる。これらの点を考慮し、自治体の「平和政策」に関する現状把握と内容の精査を行い、「平和」概念を再検討する。

2. 研究計画

2012年度

1. 「平和政策」の概念定義に関進める。「平和」「安全保障」の概念の多様化に関する研究動向を調査するとともに、中央政府と地方政府(自治体)との政府間関係に関する自治体学・行政学に関する文献まで、幅広くフォローする。

2. 平成25年度に、全国の自治体の「平和政策」に関する実態調査を行うための予備作業を行う。具体的には、役所に関する住所や担当部局などのデータを検索し、データベース入力作業を、事務補助の協力を得て行う。また、東日本大震災によって被災した自治体では、役所の移転を余儀なくされている自治体や、災害復興のための業務に追われている自治体が多いと考えられるため、これらの自治体に対する現状調査(HPによる調査の他、現地調査を含む)を行う。

3. 岩波ブックレット『自治体の平和力』を刊行した。

2013年度

1. 全国の自治体を対象とした「平和政策」に関するアンケート調査を、主として郵送によって行う。(回収率:72.1%でした。)

2. 広島市・長崎市を中心とする「平和市長会議」は、平成23年(2011年)10月段階で、151カ国・地域、5020都市が加盟する世界規模の自治体ネットワークであり、4年に1度、世界の自治体の首長を広島・長崎に招いて、8月に「総会」を開催している。平成25年度は、この総会が開催される年であり、核兵器廃絶を訴えるNGOも参加する総会が行われることから、この機会に、諸外国の自治体の事例について情報を収集し、日本国内の自治体の首長からも、情報を収集する。その結果を、今回の、全国の自治体を対象とする「平和政策」の実態調査を実施する際に反映させる。

3. 前回の調査と大きく異なる状況にあると思われる自治体として、震災による被災自治体のほかに、現時点では、中国の海軍力の増強に脅威を感じている八重山諸島の自治体に着目している。与那国町では、自衛隊の配備を要求しており、誘致派の町長が当選したが、町内を二分する状況にある。政府は「動的防衛力」構想を打ち出し、南西諸島に陸上自衛隊の配備を計画している。この点に関する調査を行いたい。(今回の科研で調査できなかったので、2015年4月下旬に調査を行う予定。)

2014年度

1. 前年度に行った、全国の自治体を対象にした「平和政策」に関する実態調査に関する分析結果を、研究成果として公表する。日本地域政治学会(5月31日)、日本政治学会(10月12日)、海外の学会(International Peace Research Association、8月、イスタンブール)において、口頭発表を行う。また、自治体関係者や一般市民に対して、研究成果を還元するため、HPを立ち上げ、啓蒙書を出版する。

2. 諸外国の自治体との比較検討を行い、さらなる研究課題の設定を行う。前年度に開催された「平和市長会議」の報告書をもとに、日本の自治体のケースを、諸外国の自治体のケースと比較し、日本の自治体の進める「平和政策」の状況をより立体的に把握する。例えば、核兵器廃絶に関して自治体の「平和政策」として異論はないと考えられるものの、原子力の平和利用をめぐって、自治体の「平和政策」を運動として見立てた時に、路線の対立はみられないのか、軍との協力関係はどうなのか(スイスのような「民間防衛」のようなケースを日本の自治体に適用することは可能か、など)、といった点が考えられる。

3. 有事法制の成立によって、政府から各自治体に対して国民保護計画の策定を求められ、自衛隊や在日米軍と自治体との協力関係が議論とされた。しかし、自治体による国民保護計画が策定された後、国民保護に関する議論は、国民保護法制定当時に比べて、現在では少なくなってきたように見受けられる。そこで、有事法制や、国民保護をめぐる、国家と自治体との政府間関係について、最終年度で検討する。(この点に関して、国会において、安保法制の法案化が現在進行中のため、研究期間を超えて調査・研究を行う)

研究成果

アンケート調査

回収率72.3%でした。2014年度に、未回答自治体に対する督促を行い、現在、集計中です。

学会報告

・The Possibilities and Limits of Local Government “Peace-oriented Policies” in Japan: Discussing National Security from a Local Perspective(International Peace Research Association, 2014. 8., Istanbul)

・安全保障をめぐる中央-地方の政府間関係 -地域から安全保障を考える視点-:単独、2014年10月12日、日本政治学会2014年研究大会(早稲田大学)

・自治体の「平和政策」の現状と課題−地域から安全保障を考える視点ー:単独、2014年5月31日、日本地方政治学会2014年研究大会(東洋大学)

・辺野古・高江から見える日米安保体制の矛盾:単独、日本平和学会2012年春季研究大会(沖縄大学)

シンポジウム開催

2014年6月29日(日)に、「沖縄-日本-中国との関係を考える」(場所:沖縄大学同窓会館(本館103))を開催しました。 基調講演の内容については、『立命館平和研究』(2015年3月刊行)に掲載されました。

論文

・自治体平和政策をめぐる課題と展望、単著、2014年10月、『市政研究(大阪市政調査会)』185号、2014年秋季

・沖縄−中国−日本との関係を考える、共著(劉成・南京大学歴史学部教授と)『立命館平和研究』16号、2015年3月


2015年3月27日現在

whiteKAKENHIlogo_jp最終報告を随時掲載していきます。

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お知らせ

新しいHPを立ち上げました。

今までのHP(「平和学をはじめる」)に代わり、2015年度の講義にあわせて、新たにHP(「はじめる平和学」)を立ち上げました。 2014年度までの情報は、今までのサイト(旧HP)にあります。こちらをクリックしてください。 …

講義に関するお知らせ

(補講)教室変更

11月16日(水:土曜授業日)1限 国際政治学II(近大・経営学部) 21−534→21−315に変更

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補講情報を、それぞれの大学(特に龍谷大学、近畿大学)で、若干動かしていますので、確認してください。講義のページの一番下に、一覧表にリンクがはってあります。

教室変更

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